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傾聴コーチング

悩みやすい教師の気づき:徐々に楽になる認知行動療法からのヒント

傾聴コーチングとは

即効性はないものの、徐々に不安な気持ちが楽になる

悩みやすい人…それは過去のわたしです。放送大学で心理学を履修し、認知行動療法の一環で「悩みやすい人の特徴」を習いました。

まさに3つとも「これ、昔の自分!」どうりで悩みやすかったわけだ・・・と納得し、妙に安心しました。悩みやすさの理由が明確になったからです。「自分は悩みやすい」と感じたら、以下の3つの傾向があるかどうか振り返ってみてください。当てはまるなら、出来事や他者に対する捉え方に気づくことが有効です。自分の捉え方に気づき、他の視点が持てるようになると、今までと違う考え方や言動が選べるようになります。短時間でスッキリ!という即効性はないですが、結果的に、徐々に悩みによるストレスが軽減されます。

  1. よくないことばかりに注意がいく
  2. 出来事をネガティブな意味として理解しがち
  3. よくないことばかり記憶している

1、よくないことばかりに目が行く

 他者と話をしているとき、否定的な反応が気になる。授業のときも退屈そうにしている学生や不機嫌そうな学生ばかりに注意がいってしまう。そして、そのことがとても気になる。たとえ、ほとんどの学生が熱心に授業に参加していたとしても、楽しそうに時間を過ごせていたとしてもです。

 さらに、何か評価やフィードバックをもらうとき、良くない評価やフィードバック、ネガティブなコメントに注目します。例えば、100人の中で99人から良い評価をもらったとしても、1人の辛辣な評価があると、そこに目が行くわけです。さらにそのコメントが胸に刻まれ、なかなか忘れることができませんでした。今は自分の傾向に気づいているので、「ああ、また自分はわざわざネガティブなところに注目しているなあ」と敏感反応しなくなり、流せるようになりました。ネットで本のレビューを見ると、どんなに素晴らしい名書にでも、「読む価値なし」とかアホみたいにネガティブなコメントをする人がいるものですよね。

2、 よくない出来事を「自分のせいだ」と思ってしまう

 「自分と話しているとき相手が眠そうのは、自分の話が退屈だったからだ。自分を一緒にいても楽しくないからだ」と自分を責める気持ちになる。

 良くないことが起こったとき「自分のせいだ」と思ってしまう。自分が勉強不足だからだ。自分がよく考えなかったからだ。よくない出来事の原因を自分の責任だと感じ、いつも「何とかせねば」と不安や焦りを感じる。

 いつも「何とかせねば」と思っているので、過去の私はやたらとセミナーに行ったりしていたが、明確な目標はなく、自分の弱点を埋めるためにコマネズミのように動いて消耗していた。だから、いつも自分に満足することがなく、足りないところばかりが気になり、いつも焦っていてお疲れ気味だった。

しかし、セミナージプシーだった私もそのなかでコーチングに出会って、その後の考え方も働き方も大きく変わったのだから、ジプシー時代があっていろいろやってみてよかったなあと思う。中には確かに「お金と時間のムダだった」と思うものもあったけど、当時は必要だと思ったわけで、まあいいやと思える。

3、よくないことばかり記憶している

 過去の自分を振り返ると・・・うまくいかなかった仕事や評価が低かった出来事ばかり覚えている。失敗したことを何度も反芻し、暗い気持ちになる。いつまでも失敗した場面を繰り返し思い出し、「ああすればよかった」と後悔したり、「もしまた同じことがあったらどうしよう?」とシュミレーションが止まらない。悩みは悩みを呼ぶ。考え出すと、芋づる式にいろいろ思い出して切がない。

 その上、また同じことが起こるんじゃないか、傷つくんじゃないか、落ち込んでしまうんじゃないかと恐れていた。その恐れを「準備する」とか「講座を受けること」「資格を取ること」で解消しようとしたんだ。そのため、何をするにも準備に時間がかかり、一歩踏み出す勇気もなかった。

 逆に、良いことが起こっても自分を高く評価することを避けていた。「これは、たまたま起こったことかも?」「調子に乗らないようにしよう」とますます気を引きしめる。素直に喜べない。必要以上に喜んで、また失敗して落ち込みたくないという気持ち。当時(40歳すぎぐらいまでだ)自己肯定感という言葉は知らなかったが、かなり低かったにちがいない。

認知行動療法を学んでから…悩みはあるけど気分はおだやか

悩みやすかったわけです。今でもその片鱗はあります。常にネガティブだったころは「わたしはもともとネクラな性格だからだ」と思っていました。「もともとの自分の性格だから、しかたがない」と永遠にあきらめようという境地だったのです。

あるとき、知り合いが言いました。

「わたしは立ち直りが早いっていうより、悩みをいつまでも心の中においておけないんだよね。早く投げ出したくなる。ホントは解決策とかちゃんと考えたほうがいいんだけど、他のことして気を紛らわせてる。だから、同じ失敗を繰り返してるんだよね(笑)」

彼女は悩みを抱えておけなくて、他のことをしてしまうのだそうです。サクッと切り替えているというよりは、悩みから逃げるのが早いそうだ。竹を割ったような性格に見える人にもこんな面があるんだなと思いました。

そこで、気づいたのは「わたしは”とことん悩む力”がある」「しぶとく考える力がある」ということ。自分ではぐだぐだ悩んでいるとしか思えない時間でも意味はあるんですね。悩んでいるときはイヤですけどね。

この気づきはわたしの気持ちを楽に、そして悩みやすい自分を少し誇らしくさせました。まず、自分の悩みやすさを受け入れること。次に、ものごとに対する自分の捉え方を俯瞰すること。つまり、他者の視点で自分を見ることです。すると、自分の言動が変わり、他者との関係も変わります。

自分の思考をとらえ直していくうちに、徐々にですが、悩みの渦中から抜け出すまでの時間が短くなります。即効性はないですが、こんな私も今は「わたしがわたしでいることは、なかなか良い感じだ」と思っています。過去の悩みの数々を思い出すと、ホントに死ぬほどどーでもいいことで悩んできたなあ。。。まあいいか。

ABOUT ME
吉田 有美
日本語キャリアサポーター。著書「日本語教師のための はじめてのコーチング」。日本語ボランティア向け「学習者との会話を広げる深めるコミュニケーション」講師として活躍中。個人向けサービス「大人にための自己分析・自己理解」をテーマとするコーチングセッションを行う。日本語学習者への個人レッスンも提供中。