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【日本語コーチング】授業のグループワークで発言してもらうコツ

オンラインセミナーでも授業でもZoomが多用されるようになり、もう生活インフラの一部のようになってきました。Zoomと言えば、ブレイクアウトセッション。これがけっこう緊張します。ファシリテーターが「では、みなさん、グループに別れてください」と言ったとたん、閉ざされた空間にワープ!(”ワープ”って今も言う??)異次元空間を移動するようにルームに入る瞬間、なぜか息を止めてしまいます。そして、グループになった瞬間、「あれ?今、何を話すんだっけ?」「〇〇って言われましたよ」「じゃ、誰から行きます?」「…」「自己紹介も?」少しワヤワヤ。参加者が他の人の出方を見ていてちょっと気まずい瞬間です。今はさすがに慣れましたけどね。それでは、「グループでの話し合いを深めるコツ」について書きます。

グループワークの前にソロワークの時間を

ソロワークというのは、講師からの問いや課題を参加者が一人でやってみることです。方法はグループワークの前に「2分間で自分の考えをメモしてください」とか言うだけなんですけどね。その間、参加者はそれぞれ一人で作業し、講師(教師)はじっとしてます。ハイ、それだけです!時間はタスクの内容によって2〜5分程度で変えます。なぜソロワークの時間がが要るのでしょうか。それは、いきなりグループでその場の思いつきで話した場合、話し合いが深まらないからです。議論が深まらないというのは、急な話し合いでは、こんなことが起きるからなんですね。

  • 最初に声高に意見する人がいると、それで流れが決まりがちになる
  • 存在感の強い人の意見に他のメンバーが影響される
  • 一般論や浅い意見を共有したところで時間切れになる

そんなわけで話し合いを深めるのに、ソロワークの時間を入れるのが効果的です。発言が苦手な人が意見を言いやすく、最初から独自の意見が出やすくなります。ソロワークの効果を参加者(学生)目線で言うと、この3点があげられます。

  • 他者の意見に影響されやすい人が、事前に”まっさらな自分の考え”を記録できる
  • 即興で発言するのが苦手な人が、考えを整理し、リハーサルする準備時間を設ける
  • 話し出すと長くなりがちな人が、事前に要点をまとめることができる

実際これで、ふだん引っ込み思案な人が皆が感心するような意見を言うことがあります。コミュニケーションタイプの視点で言えば、サポータータイプとアナライザータイプの発言を促し、彼らから独自の意見が出やすくなります。また、話し好きで発言が長いプロモータータイプが要点を絞れます。コントローラータイプの人は「自分はすぐ言えるけど必要なら待ちます」というスタンスだと思われます。

講師(教師)にもありがたい時間で、みんなが考えている間ちょっと一息ついたり、一人で進められない人をフォローしたりできます。具体的な方法としては、私が参加したファシリテーションの研修(対面)ではこんな方法で行いました。

  1. 講師からの問いを聞き、グループのタイムキーパーを決める
  2. ソロワーク:メンバー各自A4用紙を4つ折りにして、自分の意見のキーワードを4つ書く
  3. グループワーク:紙を見せながら、4つのキーワードにそって一人1分程度で意見を延べる
  4. 残り時間で意見交換

これだとみんなしっかり言えて、意見交換までできるし、各々が話す長さも公平でした。ソロワークの時間はすぐ意見が言える人にとってはヒマかもしれません。ですので、ゆっくりめの人が7割くらいできる長さでOKです。試してみて,どうだったか教えて下さい。前から行っている方は工夫している点、良い方法を教えていただけるとありがたいです。

ABOUT ME
吉田 有美
日本語キャリアサポーター。著書「日本語教師のための はじめてのコーチング」。日本語ボランティア向け「学習者との会話を広げる深めるコミュニケーション」講師として活躍中。個人向けサービス「大人にための自己分析・自己理解」をテーマとするコーチングセッションを行う。日本語学習者への個人レッスンも提供中。