なぜ話さないのだろう?沈黙の理由は?
質問したとき、こんな人はいませんか。とても反応が遅い、何か考えているようだけど言わない、簡単な質問なのになかなか答えない人。おまけに感情を表さない。「何を考えているんだろう?」と不思議な存在ですよね。
クラスで、「子供のころ、よくした遊びは?」って聞いただけなのにふくろうさん(仮名)は黙っている。彼が黙っているので、教師は思います。(質問がわからなかったのかな?)
「じゃ、子供のとき、よく何をしましたか」
ふくろうさんの耳には入ってないみたいです。彼が下をみているので、助け舟を出すことにしました。
教師「ゲーム、しましたか?」
ふくろう「いいえ…」
教師「マンガ、読みました?」
ふくろう「いいえ、あまり…」
教師「スポーツは?」
ふくろう「いいえ、しませんでした。」
せっかく会話を引き出そうとしているのに、ふくろうさんの返事は短い。会話が弾まないわ〜。どうやって引き出せば・・・と思うかもしれません。
今回は「コミュニケーションタイプ」の考え方を基に「何を考えているかわからない人」「沈黙が長い人」について書きます。
コミュニケーションタイプについてはこちらでどうぞ。
【図解】「タイプ分け™」とは 〜あなたはどのタイプ?タイプ分けで上手くいくコミュニケーション
学習者がアナライザータイプの場合ありがちなんです。慎重でペースがゆっくり、考える人たちです。彼らは反応もゆっくり。「簡単な質問なんだから、ただ適当に言えばいいのに。何でもいいから言ってみればいいのに…」と思うかもしれませんね。
私はそのアナライザータイプですので、自分の実感とこれまで担当してきた学習者、コーチングのクライアントさんとの経験から書きます。
ある種の人にとって「適当に何でも良いから言う」ということが実は非常にむずかしいのです。(私は英会話のクラスで先生に「何でもいいから言って!」とプッシュされ、”I can’t. I just can’t .”と固まったことがあります)
一体、アナライザータイプの中で何が起きているのでしょうか。私たちはこんなステップを踏んでいます。
- 先生の質問の意味を理解する
- 答えを考える
- その答えを言うための表現・文法・語順を考える
- 頭の中で文を作る
- 間違えていないかチェックする
- やっと発言!もしくは、正しく言える確信がない場合、発言を辞める
慣れない場や緊張する相手とのやり取りは時間がかかります。または緊張のあまり、頭の中がまっしろになって諦めることがあります。沈黙しているとき頭の中で自問自答。「そういえば〇〇はいつ習った?」「〇〇と✗✗の違いは?」など本筋ではないことに注意が行っていることも。ですので、変なタイミングで細かい質問をして教師を戸惑わせることもあります。教師からすると「今、それは大事じゃないんだけど…」と思われることでしょう。
アナライザータイプが考えている最中に教師が「質問の意味がわからないのでは?」と思い、質問を言い直すとどうなるでしょう?おそらく、考えるのに集中していて聞こえていないか、最初から考えるのが面倒になり、言うのをあきらめて短い返事で済ませようとします。「ありません」「わかりません」とバッサリ。
なぜ、こうなるのでしょう?アナライザータイプは「順を追って言いたい」「正確に言いたい」この気持ちが強い傾向があります。そして、頭の中で確認してから発言するので、反応が遅くなります。
気をつけることは「何でもいいから言って」「間違えてもいいから」などと急かさないこと。一度した質問は変えないほうがいいです。相手が答えるまで待ちます。
でもですね、
プライベートレッスンならいいんですけどね。クラスやグループではどうすれば…他の人もいるんだし。待っている時間がもったいない…ですよね!
対策としては、アナライザータイプが視線を外して考え出したら、”ゆっくり考えていいですよ〜”と声がけをして、安心して考えてもらってください。「じゃ、ちょっと考えててくださいね!他の人にも聞いてみましょう〜。」と声がけして、一旦放置しましょう。少し時間をおいてから、もう一度聞いてみてください。考えがまとまって言う準備ができてれば言えます。それでも「ありません」と言われたら?…そっとしといてください。
「めんどくさーい!」って思います?いつも沈黙しているわけではないですよ。アナライザーは慣れている場や安心して話せる人になら、それぼど考えずに気楽に話すことができます。
むしろ、得意分野で自分がよく知っていることはべらべらと饒舌にしゃべれます。そんなに細かいことまでは聞いてないよ~と思われるほど話せます。
*タイプ分けについては相手をカテゴライズしたり、決めつけないようにご注意ください。ご自身と相手との違いをわかりやすくするために使用します。人間は複雑で多面性があり、一つのタイプに明確に分かれるわけではありません。個人を観察して対応のしかたを考える際の目安、ヒントとしてお考えください。