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傾聴コーチング

【読書メモ】謙虚なコンサルティング

アドバイスのタイミング

コーチングでは基本的に「アドバイスをしない」と言われています。これにはずいぶん戸惑いました。今は「相手の話を聞いてから必要に応じてアドバイスする」という考えです。

教師をしていたら全くアドバイスしないというのはムリですね。むしろ、学習者の方からアドバイスを求めてくることも多いです。個人的には、私はどちらかというと人からのアドバイスは歓迎するほうで、他の人の「私ならこうするよ」という考えを聞けるのは助かります。もちろん押し付けられたらイヤですけどね。

こちらからアドバイスを相手に聞いてもらおうと思ったら、タイミングと伝え方が大事だと思います。それを裏付けるようなことを読みました。

「謙虚なコンサルティング」エドガー・シャイン (2017)英治出版

”支援者は、助言するタイミングが早すぎたら信頼を損ねてしまうという点について、最も慎重になるべき”(P146)

アドバイスのタイミングと言えば、こんなことがありました。パソコンの操作に困ったとき、やり方を検索してもどうにもわからん、となって家族に相談。

夫「あーそれはね、再起動してみれば?」

私「それはもうやってみたんだけどー」

夫「じゃ、説明のサイト見てみれば?」

私「見てみたけど、わからなくて・・・」

頼っておきながらムッとしてしまう私。夫はごく当然の返答をしたにすぎないのです。何故こうなるのでしょうか。

つまり、アドバイスのタイミングが早すぎると相談した側はこう思うかもしれないのです。

「それはもう知っているけど、良い考えだとは思えないんだよね」

「それならもうやってみたけど、うまくいかなかったから聞いてるんだけど…」

実際わたしは「そんなことも知らないと思ってるの!?」という気分になっていました。

思い返せば、わたしも早まりがち。相談されたとき、解決してあげたいという想いが先走って「こうすればいいよ」とパッとアドバイスしてしまう。以前は「即座に気の利いたことを言うほうがいい」と思っていたのです。そのタイミングの早さがマイナスになるということもあるのですね。

アドバイスの伝え方

「謙虚なコンサルティング」にはこんなことも書いてありました。

”提案やアイデアは質問の形にして述べるとソフトに伝わるし、確信が持てないときには口調を穏やかにするといい。”

知ってることがあれば教えたくなるもの。自分にとって「絶対正しい」と思うことでも、そのまま伝えると相手は違う考えだったり、押し付けがましいと感じるかもしれません。そんなとき、「どう思う?」と付けくわえて、相手の考えを聞いてみると良さそうです。

また、伝えるときの語気が強いと「キツイな」「怒っているのかな?」と相手が引いてしまうこともあります。アドバイスする側の表情や声の印象が強すぎると、言っていることが耳に入ってこなくなる人もいます。(自分のことなんですけどね)ですから、アドバイスや意見というときは意識して口調を穏やかにすると、相手は受け取りやすくなるかと思います。

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吉田 有美
日本語キャリアサポーター。著書「日本語教師のための はじめてのコーチング」。日本語ボランティア向け「学習者との会話を広げる深めるコミュニケーション」講師として活躍中。個人向けサービス「大人にための自己分析・自己理解」をテーマとするコーチングセッションを行う。日本語学習者への個人レッスンも提供中。