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授業後のネガティブな気分を吹っ切るには?

教師のみなさんは授業がうまくいかなかったとき、落ち込みがちな気分をどうやって吹っ切っていますか。以前の私はどんよりした気分を引きずりがちでしたが、徐々に改善したことについて書きます。

”教える仕事がうまくいっているかどうかは、教えられたことを学習者がうまくできるようになったかどうかということだけで測定されます”

(「教師のための「教える技術」」向後千春(P19、3-6)明治図書出版(2014)より)

これを読んだとき、なんて潔いシンプルな考え方なんだ!と感動しました。しかし、頭では理解しているものの、竹を割ったような性格と真逆の私。レッスン後「今日うまくいかなかった⤵️」と気分がどよーんとしたり、「ああ言えばよかったー」「どうすればよかったんだろう?」とか、なかなか心のザワザワが収まらないことがありました。

教えたことを学習者ができたかどうかといえば、うまくできているのです。

この気分が沈む感じは何なんでしょう?「今日のレッスン、うまくいかなかったな…」と判断して反省モードに入って気分が暗くなるのはなぜなのでしょう?

そうそう、思い当たることはある。〇〇さん(学習者)、なんだか無表情だった。いまいち話にノッてこなかったな。それはテーマがつまらなかったから?課題が簡単すぎたから?

教えたことができたかどうかといえば、できているのに、私は学習者のちょっとした表情や態度に影響されやすいのでした。

別に何か言われたわけでもないのに学習者からの非言語のメッセージをネガティブなほうに変換してしまう。あるとき、そんな自分のクセに気付きました。学習者が難しそうにしたときに困り顔など、相手の表情や態度の印象をもとに「失敗したー!」と判断していたのです。相手はただ真剣に考えていたに過ぎないかもしれないのに。

対策としてはこんなことを考えました

授業がうまくいかなかったと感じたときは事実を振り返る。「失敗したと感じているけど事実はどう?」「実際に何があって失敗だったと思ってる?」などとネガティブ変換していないか自問自答します。

学習者の反応はいまいちでも理解していて会話でも使えていたら、「できるようになった」でいいのではないでしょうか。つまり、授業としては合格点。もちろん、学習者が楽しそうだとこちらも嬉しいのですが、それは「できれば尚良し」というプラスαとするのはどうでしょうか。「ああ言えばよかった」「こうすればよかった」と考え続けると自分を責めてつらくさせます。必要以上に反省するとストレスが溜まりますね。

コーチングの考えでは、相手の反応が気になって考え続けてしまうときの解決策はこれ。

違和感を感じたら自分の気持ちを伝え、相手に聞いてみる

授業の終わりに「〇〇さん、むずかしそうでしたけど、今日の会話の練習はどうでした?」など直接問いかけてみるのです。相手の本当の気持ちを聞くって怖いけど、溜めずに率直に聞いたほうが「聞いてみてよかったー」と確実にスッキリします。

コツとしては「今日の授業」ではなく「今日の読み物」「今日の会話練習」など、授業の具体的なことに焦点を当てると学習者は言いやすいです。「今日の授業は?」と聞くと、どうしても「私(〇〇先生)の授業」というようにヒトが評価の対象になりがちだからです。

違和感を持ちつつ本人に聞けないまま終わって、次回まで気になっているときもあったのですが、だんだん「次回また同じことが起こったら聞いてみよう」とメモして区切りをつけることができるようになりました。相手の反応がいいと嬉しい、楽しく学んでほしい、そういう気持ちがあるのは当然だと思います。しかし、最も大切なのは学習者が新しいことを学んだり、できるようになったり、自分なりの手応えを得ることなのではないでしょうか。

授業の気になったことを書いて自分で振り返るのもいいですし、「今日こんなことあったんだよね」と気軽に話せる同僚や仲間の存在も助けになりますね。とにかく頭の中のモヤモヤを人に聞いてもらうとか、外に取り出して眺めてみるって大事だと思います。

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ABOUT ME
吉田 有美
日本語キャリアサポーター。著書「日本語教師のための はじめてのコーチング」。日本語ボランティア向け「学習者との会話を広げる深めるコミュニケーション」講師として活躍中。個人向けサービス「大人にための自己分析・自己理解」をテーマとするコーチングセッションを行う。日本語学習者への個人レッスンも提供中。