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傾聴コーチング

【読書メモ】謙虚なコンサルティング エドガー・H・シャイン

クライアントにとって「本当の支援」とは何か?

この本は、エドガー・H・シャイン 金井嘉宏監訳 野津智子訳(2017)『謙虚なコンサルティング』英治出版より発売されています。キャリアの理論で「キャリア・アンカー」を知ったときから前からエドガー・シャイン先生のファン(?)です。難しいところやビジネスシーンの事例は飛ばしながら読んでしまいましたが、コーチングに通ずる考え方など印象に残ったことをメモしておこうと思います。

本当の支援を速やかに行うには?

本当の支援はすぐに行うことができるが、それには支援者がクライアントと最初の瞬間から率直に話のできる信頼関係を気づく必要があることを書こうと思った。(中略)本当の支援を行うには、コンサルタントが極めて謙虚になることも欠かせない。

( P15)

クライアントを学習者、コンサルタントを教師として読むとしっくりくるのを感じました。相談に乗るときに大切なのは個人的で打ち解けた関係を築くこと。ほどほどに表面上の関わりをするのではなく、支援したい気持ちと何でも安心して話していいよ、関心がありますよ、ということを全面に出そうという話だった。

謙虚なコンサルティングでは、相手の力になりたいという積極的な気持ち、思いやり、相手を知ろうとする姿勢で臨むこと。これはコーチングと通ずるものがありますね。

安心感というのは、立場が上の人だけが与えられる

最も印象に残ったところは、大学が舞台のCASE9で、教室で学習が促進する条件について書いてあるところでした。やはり、学校の場面だと身近に感じて想像しやすいですね。

それは学生たちが心理的安全性を感じて初めて可能になることも、私は学んだ。つまらない質問をすることも、本当はあまり理解できていないと認めることも、安心してできなければならない。そして、安心感というのは、立場が上の人だけが与えられるのである。

(P193)

学習者との関係性では教師のほうが立場が強くなりがちですね。改めて、安心感を作り出すのは教師の役目なんだなあと思いました。ときどきムードメーカーの学生がいて、和気あいあいとした雰囲気を作ってくれると助かるのですが、一番影響を与えるのは教師の存在なのだと思いました。まずは、安心感を作り出すことが最も大事な仕事かもしれませんね。

感想

ラポールと心理的安全性が大事とか教育の場面とか自分が今まで得た知識を裏付けるような箇所に目が行きましたね。難しく感じたときほど確証を得たくて、そうなるのかもしれません。早い段階で信頼関係を築くこと、心理的安全性に配慮することは、どんな組織のどんな人間関係でも大切ですね。個人的には「表面上の関係ではなく…」と書いてあるところにドキッとしました。相手との距離感に気を使いすぎず、早い段階で率直に話せるようにしたい。

ABOUT ME
吉田 有美
日本語キャリアサポーター。著書「日本語教師のための はじめてのコーチング」。日本語ボランティア向け「学習者との会話を広げる深めるコミュニケーション」講師として活躍中。個人向けサービス「大人にための自己分析・自己理解」をテーマとするコーチングセッションを行う。日本語学習者への個人レッスンも提供中。