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【グループワーク】安心のための環境づくり

グループワークの多い研修やワークショップでは、グループのメンバーによってその満足度や充実度が大きく影響すると思います。というのも、何度かキャリアコンサルタントの向けの研修を受講していて、どのグループワークでも「良いメンバーと話ができてよかった」「充実した時間だった」と満足感を持っているからです。逆のいくつか残念な経験もあります。

充実したワーク活動をするために、どんなことが必要なのでしょうか。私は、まずは講師(ファシリテーター)が心理的に安全な環境をつくることだと思います。グループのメンバーが安心して発言する中で様々な意見やアイデアを共有すると同時に、議論も深まります。そうすると、自分ひとりで考えた以上に気づき・学びが得られるからです。

そこで、心理的に安全な環境づくりのために、講師(ファシリテーター)が具体的に何をしたらよいのでしょう。まずはグループワークのルールを明確にすることが大切かと思います。最初にグループワークでメンバーが困る行為をあげてみましょう。次に、それを解決するために誰もが実行できそうなルールを考えました。

グループワーク、心理的安全性が損なわれる行為

自分の話を長々とする。グループワークの時間制限があるにも関わらず、一人の話が長く、話題を独占してしまうと他のメンバーが発言しにくい。発言の機会が失われる。

決めつけるような言い方をする。「それはおかしい」「〇〇人は〇〇だ」など、自分の評価や一般論を用いて決めつけるような発言があると、議論が浅く終わりがち。

押し付けるような言い方をする。「〇〇すべき」「〇〇でなければならない」など、声高に自分の意見や価値観を押し付ける発言があると、他の考えやアイディアが出にくい。特に年長者・存在感のある人の発言は影響する。

他者の話を取る。他者の話に割り込む。他者の発言が終わるのを待たずに自分の話に持っていく行為は、前の発言者に「あなたの話は大事ではない」というメッセージとして伝わる。

他者の話を否定・批判する。発言するとき、「でも〜」「しかし〜」「いや、それは〜」など否定の言葉から話し出すと、前の発言者に対して否定・批判として伝わる。

このような行為が見られるグループワークでは気にせず発言できる人もいますが、緊張感・不安感を覚え、言いたいことが言えずじまいになる参加者もいます。

グループワーク、話し合いのルールを明確に

要点から話し出す:「私は〇〇だと思います」など一番伝えたいことから話す。

決めつけない:Iメッセージで「私は〜と感じました/〜と思いました」など私を主語にして発言する。

押し付けない:発言のあと相手にも聞く「私なら〜すると思いますけどどうでしょうか」「こういう考えもあると思うのですがどうですか」

他者の話を取らない:前の発言を「ーー。」”まる”まで聞き、一呼吸おいてから発言する。

他者の発言を否定・批判しない:前の発言を受け止める表現から入る。「〇〇についてなるほどと思いました」など。


講座や研修に参加する方のほとんどはルールがなくても普段から身に付いている人が多いと思います。しかし、中にはそうではない方もいます。「常識的なことをわざわざ・・・」という人は身に付いている方でしょう。とはいえ、自分が当然のようにしていること、言っていることは他の人にどんな影響を与えているか気づきにくいものですね。「決めつけない」「押し付けない」は私も気をつけないと、と思っております。

より心理的安全性の高い、充実したグループワークをするために、これから講師をするときは上記の5点をグループワークのルールとして示すことにします。

ABOUT ME
吉田 有美
日本語キャリアサポーター。著書「日本語教師のための はじめてのコーチング」。日本語ボランティア向け「学習者との会話を広げる深めるコミュニケーション」講師として活躍中。個人向けサービス「大人にための自己分析・自己理解」をテーマとするコーチングセッションを行う。日本語学習者への個人レッスンも提供中。