日本語教師のためのコーチングの本を執筆中、知識の言語化と現場の先生方の反応が知りたいことから、コーチング勉強会の開催を思いつきました。そこで、2022年4月から7月にかけて7回の勉強会をオンラインで実施しました。各回の参加者は12名〜16名。日本国内はもとより半数はフランス・ハンガリー・香港、トルコ、エジプトなど海外からのご参加でした。レクチャー、ペアワークと振り返りを含めて60分で行い、終了後に質問を受けたり、ざっくばらんに話をしたりしました。皆さん熱心な中に和やかさもあり、非常に良い雰囲気でした。(記憶があいまいな部分もありますが、だいたいの内容を記録しておきます)
1回目 コーチングはじめの一歩
- コーチングの流れと対話の仕組みを知る
- コーチングの傾聴を体験し、気づきを得る
1回目ですので、「コーチングって何をするの?」というざっくりとした説明と傾聴の簡単な体験ワークをしました。最初に、ワークの注意事項として「個人情報を漏らさないこと」「他の人の感覚を認めること(否定しない)」をお約束いただきました。その後、コーチングとは何か、コーチングをするときの心構え、コーチングの効果、対話の仕組みについて話しました。後半は、ペアで傾聴のワークを行い、最後に振り返りとして”今回の学び・気づき”をチャットに書き込んでもらいました。
2回目 コーチングとティーチング
- コーチングは教室でどう使う?
- コーチングの「承認(認める)スキル」、フィードバックを体験する
コーチングが有効な場合とティーチングが有効な場合についてお話しました。また、どんなことがコーチングのテーマになるのかについて触れました。後半は「承認(認める)スキル」とフィードバックの基本的な言い方を紹介し、ペアで練習し、最後に振り返りのコメントを残してもらいました。
3回目 コーチングの傾聴と質問
- 学習者の立場で目標設定の質問に答えてみよう
コーチングの傾聴と質問を紹介し、体験ワークを行いました。自分が聞かれて答えにくい、意外と難しいという感覚を覚えていることが大切だと思います。(記録をなくしてしまい、記憶で書いています)
4回目 ラポール形成〜セッションのセットアップ
- セッションスタートのコツをつかむ
- 水平質問と垂直質問
早い段階で相手の方と信頼関係を築くにはどのような工夫ができるかをお話しました。初対面の相談の場がうまくいかなかくなるケースや安心して話してもらえる環境づくりにも触れ、ペアワークは相手の発話を待つことに重点を置いて行いました。水平質問と垂直質問はこのタイミングでするのはまだ難しかったと感じました。
5回目 目標設定のセッション
- 目標の種類について知る
- 特に目標のない学習者(相談者)の話を聞き、質問する
目標を設定するときのセッションのしかたをお話しました。目標の種類、または特に目標がない相手に対してどのように関わるかということにも触れました。ペアワークは、目標を共有する1回目のセッションの練習をしました。2回目以降のセッションの話もしましたが、他の日に時間を取ってすればよかったと思いました。
6回目 学習の現状を把握する
- 学習の現状について質問する
- 学習者の自己評価を聞く
自分(教師)の価値観、学習感の話から、学習者の話を聞くときに気をつけること、学習者の自己評価を聞くことの効果についてお話しました。また、モチベーションが不明な学習者についても触れました。ペアワークでは、自分の目標と現状のキャップについて話し、質問する練習をしました。
7回目 学習のリソースと学習計画
- 学習のリソースについてヒントを得る
- コーチングを使った学習計画のヒントを得る
学習のリソースの種類と質問の仕方、学習計画「大きな目標」「小さな目標」についてお話しました。スモールステップで、最初の具体的な行動を決めることについてお話し、ペアワークでもそれぞれが自分の目標に対して、最初にできることを話してもらいました。
まとめ
毎回たった1時間ちょっとでしたが、とても濃い時間でした。単発の講座にする予定でしたが、段階的に構成していたため、途中から同じメンバーで続けました。チャットに残していただいた振り返りを読むのが非常に楽しみでした。10〜12人くらいだと発言しやすく、ペアワークも毎回いろいろな人と組めるので、ちょうど良さそうでした。