2月10日、2月24日の2回、(公)横浜国際交流協会(YOKE)にて、日本語ボランティアさん向けのブラッシュアップ講座の講師を務めました。参加者は16名で各2時間、傾聴のレクチャーを含むワークショップを行いました。きっかけは、協会の地域日本語教育コーディネーターの方が偶然吉田のサイトを見つけてメールマガジンを読んでいただいたそうで、一度お話してすぐに開催が決まりました。文化庁委託の日本語教育人材の研修プログラムの一環とのことです。
1日目「傾聴の基礎〜体験ワーク」
講座の目的についてお話し、吉田の過去の事例(学習者の話が聞けていなかった出来事)からグループワークで感想や改善案を話してもらうことから始めました。前半のレクチャ−の内容は主に次のとおりです。
- 学習者との対話の必要性〜効果的に教えるためによくきこう
- 一般的な会話と傾聴を用いた会話の違い〜ありがちなNG集
- 理想的な対話のバランス〜支援者がどのぐらい話すのが良いか
- 傾聴をいかした対話のモデル〜話しやすい相手・話しにくい相手の態度とは?
後半は「実践!話を聴く4つのコツ」をお話しし、スタッフの方を相手に相談場面のモデル会話を見てもらいました。その後、4つのコツをそれぞれ3回のペアワークで練習しました。4つのコツは次のとおりです。
- 学習者(相手)を認める
- 学習者に合わせて反応する
- 関心・共感を示しながらきく
最初はぎこちなかったワークも3回目には、まるで昔からの友人同士が話しているように見えるペアも多くあります。ワークの主なテーマは「今の活動について」話をききあうというもので、皆さん生き生きと話していました。
16人(4人グループ4つ)という人数ですと、その都度質問もしやすく、一人ひとりが自分ごととして参加するのに良い人数だと感じました。オンラインで開催するとしても12〜16名というのは良さそうです。
二日目 実践!相手の話を促し、質問する
二日目は2週間後に行われました。それぞれ1日目で習ったことを実践して持ち寄ってもらいます。最初に前回の「4つの傾聴のコツ」を復習し、ペアで傾聴の実践の感想や気づきを話してもらいました。この時点では、やはり2週間空いているので、半数ほどのペアは少しぎこちない雰囲気で遠慮しながら話したりきいたりしている様子でした。今回の目的は次の3つ。
- 傾聴4つのコツを実践しながら相手の話を促す
- 具体的な質問をしてから全体をきく質問をする
- 相手の困りごと・悩みの相談に応じる
内容的にはすべてをこの一日で身につけるというより、モデル会話を見て実践し、それぞれの現場(学習者)に使えることを持ち帰ってください、という考えで行いました。後半3回のペアワークをしたところ、最後のワークのときには皆さん傾聴の姿勢もできていて、話し手の方も心を開いてお話しているのがわかりました。
後日の参加者アンケートによりますと「たいへんよかった」が16名中10名もいらっしゃいました。実践的で役に立った。説明とワークの組み合わせが良かった。ペアワークが良かったという意見が多く見られました。一方で「ペアワークが少し苦手」という声もありました。今後はソロワーク(自分で考える)、ペアワーク、グループワークのバランスを改善します。
全体的には、皆さん傾聴に関心があるだけあってレクチャーもうなずきながら聞いてくださり、とても良い雰囲気でした。また日本語ボランティアさんは1対1で教えたり、生活の困りごとを聞く機会も多いとのことです。「傾聴をいかした学習支援」は必ず役に立つと実感しました。
日本語教育者・支援者向け「傾聴と学習支援のワークショップ」にご興味のある団体さま、お気軽にお問い合わせくださいませ。遠方の場合、オンライン講座も可能です。(料金・時間・人数など応相談)