日本語の中級者、上級者の体験レッスンでどんなことをしているか書きます。オンラインレッスンが急増し、クラス授業をしていた先生も個人レッスンに挑戦する人が増えてますね。
そういう私も初期の頃は「トライアルレッスンの予定がある」というだけでソワソワ。初対面のときは少なからず緊張と不安を感じますね。みなさんも対面かオンラインかに関わらず、こんなことではないでしょうか。
どんな人かわからない、何を準備すればいい?、相手の期待に応えられる?すごい経歴の学習者だと「わたしで通用する?」という気分にもなりますが、一旦落ち着きましょう。
コーチングを用いた初回レッスンはこのように考えています。
・初回は学習者が安心して話せる関係性を築くことを心がける
・学習者の話をとことん聞き、良き理解者になれるよう努める
一般に、体験レッスンというと教師が自分のレッスンを学習者に体験してもらい、レッスンを受けるかどうか決める場と思われているかもしれません。プロ教師のレッスンを体験してレッスンに申込んでもらおうという考え方もあると思います。一方でコーチングの場合は、学習者のゴールまで一緒に協働関係でやっていくかどうかをお互いに合意できるか判断する場です。つまり、学習者と教師(コーチ)の双方に選ぶ権利があるのです。
それで、私の場合は会話のレベルチェックを兼ねて、初回は特に学習者の話を聞くことにしています。なぜかと言うと、中級以上の学習者が個人レッスンを申し込むとき、必ず本人特有の理由があるからです。
特に今はアプリ、無料の動画など自習するツールがあふれていて、手頃なEラーニングのコースもあり、素晴らしい先生が無料でレッスンを公開していたりしますね。無料でいいものがたくさん選べるのです。それでも、わざわざレッスン料を払い、スケジュールを調整して個人レッスンを受ける学習者は、時間とお金が余っているわけではないようです。むしろ、多忙で堅実な人も多いような気がします。彼らは一体何を求めているのでしょうか。
グループやクラスではなく個人レッスンを選ぶのはなぜか、レッスンを有料で受けたい理由は何か、その個人的で特別なニーズを聞くことが大事です。ニーズというのは日本語を上達させてどうなりたいのか、学習者のなりたい自分、実現させたいことです。教師(コーチ)はそれを実現できるよう日本語レッスンを通じて支援します。
初級者なら生活場面の会話など、日本語の目標がある程度共通していますが、中級以上の学習者のニーズは目的や興味が別れて個別化しています。そして、その思いを誰にも語っていない学習者も多いのです。ですので、初回は日本語を始めたきっかけや、どうやって勉强してきたか、上達したい理由は何かなど学習者にとことん語ってもらうことを大事にします。そのうえで、教師(コーチ)からどんなレッスンができるか提案しましょう。そうすると自然に次回につながることが多いのです。
それと同時に、教師(コーチ)が学習者を選ぶ場でもあります。「どうも私はこの学習者のニーズに応えられそうにない」「どうしても合わない感じがする」というときはムリをしなくてもいいと思います。
初回は相手の話をとことん話をきくと決めることで、気持ちが軽くなる気がします。相手を理解したい、応援したいという姿勢は必ず伝わります。
- 学習者に「会話のレベルチェックをしながら話を聞きたい」などと言っておくこと
- トライアルの前半で話を聞き、後半は文法のレッスンを体験してもらうなど自分のスタイルを作りましょう