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【読書メモ】「幸せな劣等感」アドラー心理学<実践編>向後千春

「自分はまだまだ未熟だ。でもそこそこ良くやっている」

「幸せな劣等感」アドラー心理学<実践編> 向後千春 小学館新書(2017)を読みました。読後、気持ちが温かく、勇気づけられる感じがしました。印象に残ったこと、考えたことを書きます。

理論を知ったら、実際の生活で試してみることです。そうすることで、理論が正しいかどうか自分で見極めることができます。

P53

専門書やセミナーで新しいことを知ると「勉強になったなあ」「たしかにこれは大事だ」と思うけど、「そのうちやってみよう」と思いつつ、時が経つと記憶がうやむやになり、習った理論そのものも忘れてしまうことがよくある。自分の授業(生活)の中でどう使うかまで繋がっていないから、結局使わずじまいになるんだな。まるで勢いで買った服と似ている。

何かならったら習ったら実際すぐやってみれば、その理論が本当かどうか、うまくいきそうかどうか実感することができる。それで、その理論を採用するかどうかは自分で決めればいい。他の人には良くても「やってみたら自分には合わなかった」ってこともあるだろうね。

劣等感は誰もが持っているものですから、それ自体は問題ではありません。ポイントは劣等感を覚えたときに「自分はまだまだ未熟だ。でもそこそこ良くやっている」という感覚を受け入れることです。これを「不完全である勇気」と呼びます。

P74

誰でもいつでも理想の自分と比べたらその途中にいるはずだから”不完全で足りない存在”なのだ。つまり、「不完全」なのが当たり前。それを「これが足りない」「こんなこともまだできない」とか考えて「だから自分はダメなんだ」という結論に持っていくと落ち込む。でも、落ち込む必要はなくて、ただフツウに「不完全」なんだ。それを受け止めよう。だから、「自分もそこそこ良くやってる」っていう感覚は大事だ。そこそこでもいいの。完ぺきじゃなくて当たり前なんだから。以前のわたしは「何をするにも自分はなんでこんなに遅いんだろう」と思っていたけど、今は「少しずつだけど前進してるぞ−」と感じる。

失敗という結果については「それは失敗ではなく挑戦した結果である」と考えるようにします。たとえ評価としては失敗であったとしても、そこからたくさんのことを学ぶことができます。その学んだという成果を確認するのです。たくさんの失敗をして、そこから学ぶことで自分が成長していくのだ、というモデルを頭の中で確立しましょう。

P79

この考えを声に出して唱えるだけでも少し元気になる。「失敗しそうで不安」と思って何も挑戦しないことは大きな損失なのだ。人は失敗から学び、成長するのだから。昔はこの「失敗しそうで不安」…「失敗して傷ついたり落ち込んだりしたくない」という気持ちが大きかった。恐れが大きくて不安に飲まれていたんだけど、そのことすら気づいていなかった。今も不安は不安だけど、「失敗から学べる」「何も挑戦しないよりずっといい」とか自分への声がけを意識して変えてきた。そうして少しずうずうしくなって、気軽にトライできるようになってきたよ。

「失敗を恐れるな」っていうけど、そう言われるだけでは恐れはなくならない。それより、「たくさんの失敗して、そこから学ぶことで成長していくんだ」、この考えのほうが私にはいい。安心してたくさん失敗しよう。

ABOUT ME
吉田 有美
日本語キャリアサポーター。著書「日本語教師のための はじめてのコーチング」。日本語ボランティア向け「学習者との会話を広げる深めるコミュニケーション」講師として活躍中。個人向けサービス「大人にための自己分析・自己理解」をテーマとするコーチングセッションを行う。日本語学習者への個人レッスンも提供中。