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傾聴コーチング

【本】「反応しない練習」

この本はセルフコーチングにも役立つ考え方が満載でした。「反応しない練習」草薙龍瞬 KADOKAWA出版。タイトルに惹かれて読んでみて、つくづく私はあらゆることに”反応”してるんだなあと気づいた。この本を読むと「そもそも人間の心はそういうものだ」という表現がよく出てきて、いい意味でまるっと納得する。

悩みをなくそうとしない理解する

P16

悩みがあると「早くこの悩みを解決して楽になりたい」「気持ちを切り替えてスッキリしたい」と強く思う。だけど、なかなかうまくいかない。まずは悩みを無理に追い払うのではなく、”悩みの正体”に向き合うこと。自分が今何を悩んでいるのか理解すること。仏教の世界では悩み、苦しみは自分の”執着”から生まれるという。だから、今私は何にこだわっているのだろう?と悩みの原因を理解して、それから解決する方法を実践しようということだ。

「心は求めつづけるもの」と理解すると、不思議な心境の変化が訪れることがあります。つまり、「このままではいけない」「何かが足りない」という得体の知れない欠落感や焦り、心の渇きが収まって「人生はそういうもの」と、もっと大きな肯定が可能になるのです。

P27-28

「能力が足りない」「知識がない」「〇〇ができない」、その結果、自分の中の欠点を埋めることにばかり一生懸命になると、いつもずっと得体の知れない不安や焦りを感じ続けることになる。しかし、人間の心は求めつづけるものなのだ。つまり、足りないものを求めつづけるのが人間。求めてもキリがないと認めることで心の渇きが穏やかになるのだ。

「自分を否定しない」どんなときも

P74

何か失敗したと思ったとき、「評価が下がったかも」「私には向いていない」「私はダメな人間だ」と自分を責めたりしないことだ。「私が悪い、なんとか直さないと」と判断することも自分を否定していることになる。自分を責めると(自分への)怒りが湧いて苦しくなる。自分を否定するのはよくない、と頭ではわかっていても止められないこともある。そんなときは、筆者によると「外へ出て歩くこと」一歩一歩、歩いて心の自由を取り戻し、これからできることに専念すること。

「本物の自信」をつけるには?(中略)「もっと自信がほしい」はブッダに言わせれば完全に不合理な発想です。というのも「自信」というのは「自分はこれができる」「必ず成果を出せる」という「判断」なのでしょうが、そもそもできるかどうか、成果が出せるかどうかは、その時点ではわかりません。(中略)過去の成功をもとに「自信がついた」と言ってもその自信は次の状況には通用しないものです。

P 87

初めてすることに対して、あらかじめ自信を持つということは不可能。状況はいつも変わる。自信があるとかないとか考えなくてよい。先のことはわからない。”それより今できることは何だろう?”と考えて”今できることをやっていく”。とりあえず、経験してみれば何かしら学びがあり、だんだん見通しも立ってくる。経験を積んであるときふと「ああこれは慣れてきたな」「できるようになったな」と実感するだろう。それを「自信がついた」というのかもしれない。だから、何かに挑戦したかったら「自信がない」「自分はまだまだ」とか余計な判断をしていないで経験してみればいい。

このほかにも「他人の目から自由になる」「困った相手とどう関わるか」など私もそうだけど、どれも人間なら誰でも悩まずにはいられないテーマだった。読むと理解できるし、納得するけれど実際に「反応しない」を実践するのはなかなか難しい。

自分の心の反応に振り回されっぱなしで、あれこれ人のことが気になったり、ついついだらだらとネットを見続けたりしている。しかし、ブッダによると「人の心は反応するもの」「認めてほしいと願うもの」なのだ。そんなにクールになれないのも人間なのだろう。

それに「(自分の)”快”を大切にしてよい」とのことだった。救われる。

ABOUT ME
吉田 有美
日本語キャリアサポーター。著書「日本語教師のための はじめてのコーチング」。日本語ボランティア向け「学習者との会話を広げる深めるコミュニケーション」講師として活躍中。個人向けサービス「大人にための自己分析・自己理解」をテーマとするコーチングセッションを行う。日本語学習者への個人レッスンも提供中。