2024年11月9日、日本語教育研究所主催のオンラインセミナーに登壇しました。対象者はコーチングに触れるのが初めての日本語教育関係者、主に個人レッスンをしている方49名が参加されました。(動画視聴での参加もあり)
セミナーの内容は次の3点を扱いました。①コーチングとは?コーチングの基礎知識、②個人レッスンで学習者と目標とニーズを共有することについて③学習意欲が持続しない学習者への対応。
今回はウェビナー形式で事前にアンケートを取り、コーチング基礎知識の他の2つのトピックは、参加者からの要望の多かった質問を扱いました。1時間という限られた時間のため講義のみとしました。以下は使用したスライドの抜粋。
このように盛り沢山の内容になってしまい、絞りきれなかったことは反省点です。今回は、講師の個人エピソードを少なくして、なるべくコーチングのエッセンスを中立的に話すということを心掛けました。入門なので、参加者の方に「”もっと知りたい”とコーチングに興味を持ってもらえること」が講座の目標でした。
参加者の8割はコーチング初学者だったので、事後アンケートで「新しい発見があった」という回答が89%という結果はひとまず合格点なのではないかと思います。
内容については「もう少し体験談など具体的な話があれば・・・」「講師のエピソードや例をもっと聞きたかった」という方もいれば「講師の経験からの具体例を加えながら説明してくださったので、とても想像しやすく分かりやすい説明でした。」「入門者向けとしてコンパクトにまとまっていて、ちょうどよかったと思う」という方もいらっしゃいます。
以下は事後アンケートから抜粋。
コーチングと聞くと、はじめは教師が効果的な練習方法をとりいれたりアドバイスをしたりするものなのかなと思いましたが、学習者の声を聴くのが第一優先で、学習者が自分で選択・決定して学習を進めていくものなのだと意外な発見がありました。学習者がうまく自分の感情・思考を言語ができるような質問のスキルを身に着けたいと思いました。
学習者とのフィードバックの機会にコーチングの技術を取り入れたいと思いました。教師側からの助言ではなく学習者が自ら持っている答えを引き出すような対話スキルを身につけたいと思います。
質問の中にも、自分の疑問からくる質問とは別に、相手に気付かせたり意識してもらうための質問もある、という点が印象的でした。理屈ではわかっているものの、その場の状況に応じてとっさにできるかどうか、今後は意識していきたいと思いました
今日いちばん学んだことは、生徒自身が主体的に考えられるような環境づくりだと感じました。
自分の考え方やこだわり、価値観など当たり前に思っていることは、相手に押し付けがちになる➡指示や指導ではなく、自分の考えを「開示・共有」すると意識➡耳を傾けてもらえる関係性を作れるように努める。
学習者の話を聞いている最中に、いちいち質問することは相手の思考や話す機会を奪うことになるため、ある程度まとめて後で質問するという点は、すぐに実行してみたいと思いました。また、学習者は人との約束があると自律的に学習しやすいという点も、今回改めて大切な点だと実感しました。
今はクラス授業をしていますが、もう少し丁寧に学習者一人一人と向き合いたい気持ちが強く、今後個人レッスンまたは少人数グループレッスンでの働き方を真剣に考えたいとも感じました。
個人レッスンの進め方について、 初回はプランニングだけのセッションにして、2 回目のトライアルレッスンで学習者からフィードバックをもらうという方法や、宿題を学習者からの自己申告にする など、こちらもぜひ自分も取り入れてみたいと思いました。