2026年8月18日、(公財)兵庫県国際交流協会主催「日本語教室から目指す多文化共生/外国人県民と日本人県民の支え合う関係づくり」の講師に呼んでいただきました。5回に渡るオンライン開催の研修の第2回に登壇しました。参加者は約50名でした。

研修の内容

前半は日本語学習支援において「なぜ聴き方が大事なのか」、学習者の話を聴くことの重要性と効果について、講師の失敗談を紹介してお話ししました。

日本語教室に参加する学習者、特に教室に慣れるまで学習者は日本語に関する様々な不安を抱えています。学習支援の第一歩として「学習者が安心して話せる関係性を築くこと」を目指そうという話をしました。
学習支援者、特に年配の方は「日本語を教えること、役立つ知識を教えることで学習者を支援したい」という気持ちの強い方が多いと思います。私も含めて、昭和世代の教育の影響なのか「先生=教える人」という役割意識が働いてしまうのです。支援者の「教える時間」が長くなると、学習者が話す時間は失われてしまいます。まずは学習者の話を聞き、学習者の目標や知りたいことを絞って教えることが大切だと考えています。
次に聴き方の効果を3点お話ししました。強調したのは「学習者が存分に日本語を話せる機会を提供しましょう」という点です。

日本在住の期間が長い学習者でも日本語を話すときに「自信がない」という学習者は多いものです。そのため、「日本語を話すときは使い慣れた表現だけで済ませている」「1体1の会話はできるが、複数の日本人と一緒にいると会話の流れについていけない」など、会話の経験がないゆえに自信を持つことができないということが考えられます。
日本語教室では「学習者が安心してたくさん話せる、間違えてもいいと思える環境」を提供することが効果的だと考えています。

次に、実際にどのような「聴き方」をするのか具体的な方法について5点お話ししました。日本語を習ってはいるものの、なかなか話すことができない初級者を例に話しました。
強調したのは「相手の言葉を受け止めてから、少し待つ」という点です。特によく考えてから言葉を発する熟考型の学習者は、①相手の質問を理解する→②答えを考える→③日本語でどう言うか考える、ということを行なっています。その間は無表情、無言になりやすいのです。日本語話者同士で話すときと比べて、不思議な間ができやすく、支援者は焦りを感じるかもしれません。しかし、その場合、学習者の言いたいことを先回りして助けてばかりいると、会話の練習になりません。つまり、「待つ」「あえて沈黙する」ことで、学習者が考える時間を提供しているのです。

後半は「アクティブ・リスニング(傾聴)」を体験するグループワークを行いました。目的は自分の意見・助言を挟まずに聴くことに集中する体験をすることです。

3、4人のグループに分かれて、学習者役、支援者役、オブザーバーの3役を皆さんで体験してもらい、振り返りの時間を持ちました。

最後に15分ほど質疑応答の時間をとりました。たくさんの質問をチャットに書いていただきました。質問が簡潔になり、共有できるのでオンラインセミナーのよい点だと思います。以下いくつか共有します。
「オープンクエスチョン、『どんな?』「どうして?』は初級者に難しいと思いますが、どんなふうに質問したらいいですか。」
「プライベートに関することを聞いていいいか迷ったときは?」
「グループで複数の学習者を担当するときの聴き方は?」
「沈黙している時間が苦手です・・・」
事後アンケートから抜粋:気づき、学び、感想
気づいたことは、①すぐに返事できない学習者さんもいること②今まで、自分のペースでうなづいていたこと。③余白をあたえること。沈黙になったら、「ゆっくりでいいですよ」「待っていますよ」「ちょっと聞いてもいいですか」と声に出して言うと良いということ。
★会話、文法、など大きなくくりで希望を聞き、支援者の思い込みで教えようとするけど、会話にも様々な内容があり、本人のレベルやペースがある、そこを大切にする
★グループワークで実際に聴き合うことで、心地いい会話、話したくなる聴き方を実感できたのが良かった それを共有できる人達でよかった
★あいづちにもペ-スがある 相手の会話のペースに合わせる
●安心して話せる関係をつくること
●「学習者を受け止めて問い返す、相手の話を促す」を上手にできるようになりたい。ややもすると自分自身、支援者サイドで進め、しかも長くしゃべるきらいがあるかなと思う。
●学習者に問う。その都度ふり返って学習者の声を聞く。これらを繰り返すことにより学習者自身が自信をもてるようになる。
●「待つ」難しいけれど大事。実行できるようになりたい
グループワークで学習者、支援者、オブザーバーの役割りを体験して、支援者としての聴き方がほんとうに大切で、難しいことだと感じました。
学習者の立場になると発話するまでに、質問の理解から発言まで時間がかかるので教師側が待つ姿勢を持つことが必要だと感じました。
学習者の話に耳を傾けることの大切さは地域の日本語支援者には必須だと感じた。
2027年度も講師のご依頼をお待ちしております。お気軽にお問い合わせください。





