2024年8月10日、オンラインワークショップの講師兼ファシリテーターをしました。(日本語教師ネットワーク機構主催)。参加者は約30名、これから日本語を教えたい方、日本語教師2-3年目の方〜10年以上の方まで、ボランティア教室、個人レッスン、日本語学校、大学など様々な現場の方が集まりました。
ワークショップの目標は以下の2点について自分なりの答えを一つ得て、明日から実践することを1つ決めること。
①自律的な学習を促す対話とは?
②アクティブ・リスニング(傾聴)を用いた聴き方とは?
グループワークはお互いの心理的安全性を守るため以下3点をルールとしました。
①他者の発言を批判否定せず聴くこと
②ワークで知り得た個人情報を他言しないこと
③オープンに話そう、でも無理はしないで
前半は、自律的な学習についてのレクチャー①「自律的な学習者とは」②自律的な学習をどのように促すか」③コーチングを用いた対話(事例紹介)④対話で何を話すか⑤コーチングの理論から可能なサポートの仕方を4点紹介しました。
前半のワークは事前課題「自分の意欲の持ち方について」の共有ワークを行いました。このワークでは3人グループで、お互いに他者の意欲が高まるとき、または意欲がなくなる状況について経験の分かち合いをしました。意欲の持ち方には人それぞれの特徴があり、教師・支援者は自身の「意欲の持ち方」を把握し、他者にもそれぞれ違いがあることに受け止める必要があるからです。
後半は、コーチングの基本スキルであるアクティブ・リスニング(傾聴)のモデルセッションからスタートし、聴き方のイメージを掴めるようにしました。その後、アクティブ・リスニングを行う環境、コツについてレクチャーを行いました。
後半のワークは、3人グループに別れてオブザーバー付きのセッションをしました。学習者役は「以前から気になっているが取り掛かっていないこと」について話し、教師・支援者役が話を促し、聴く練習をします。オブザーバーは、二人の対話を観察しフィードバックを行います。
印象的だったことは、日本語教師歴、経験年数に関わらず、オープンでフラットなワークが行われていたことです。参加者の方の中に「他者の話を聴く・受け止める」という姿勢がすでに共通していたものと思われます。
以下は参加者アンケートから抜粋。
「知っていることすべてを教えてあげたい」という衝動に駆られやすいことを自覚していましたが、先生からの「相手8割自分2割、言いたいことはひとつにしぼる」というアドバイスは響きました。これからこのことを忘れないようにアクティブ・リスニングを心掛けていきます。
本日は有意義な時間をありがとうございました。2回目のグループワークの時、傾聴することを目標としました。私は指導経験がまだなく、また自分の苦手とする相手の話を聞いて発話するのに時間がかかってしまう所が、逆に学習者からすると真剣に考えてくれていると感じた、沈黙が学習者にとって更に考えを深める間となり良かったと言われました。自分の嫌だった所を褒めていただき新しい価値の発見となりました。
解決策をさがしてしまうことなく「傾聴」と「先走らない」の2点を意識して、安全な場所づくりに努める。目標と現状はセットで、また、目標は長期→中期→短期と、遠くからどんどん落とし込んでいく。その流れに学習者が慣れていくことも自律的な学習の一環になると気づけた。イメージを言語化することで気分が上がり、前向きになれる。その手助けをしたい。。
これまで、「子どもの話をちゃんと聞こう」とか「否定しないようにしよう」などと、なんとなくやってきましたが、コーチングという点で考えると、自分には不十分な点がいくつもあることに気づきました。先生のデモンストレーションや、グループワークがとても参考になり、自分にはできていなかったこと(「それから?」など)、しゃべりすぎていたことなどに気づきました。ありがとうございました。
講座に参加させていただいたのは2回目であり、著書も拝読させていただいているので、内容がスムーズに入ってきました。しかしながら「知っている」ことと「できる」ことは全く別次元であり、実際にRPをしてみて、改めて内省する機会がいただけました。今回は「先走らないこと」が今の自分に一番必要だと感じました。