2024年10月26日、目黒区国際交流会主催の日本語ボランティア向け研修会「会話を引き出すパートナーになる!支援者のコミュニケーション術」に講師兼ファシリテーターとして登壇しました。参加者は同協会のメンバーで「日本語会話サロン」「はじめよう日本語」などで活動するボランティアさん25名。2時間で講義とグループワークを行いました。
講義内容:「学習者の時間」を優先する
今回は、事前に吉田も「日本語会話サロン」に参加し、日本語学習者との会話パートナーを務め、体験をもとに現場で取り入れられる工夫について話しました。最も伝えたいのは「日本語教室における会話の時間は、基本的に『学習者の時間』と意識する」という点です。
ボランティアさんの中に、「日本語ボランティアを通して異文化交流を楽しみたい」「日本語を教えることで学習者の役に立ちたい」という気持ちがあるのは当然です。しかし、その想いゆえに、ついつい日本語話者の話が長くなってしまうことがよくあります。そうすると学習者の話す時間が失われてしまうのです。そのため、日本語ボランティアは「学習者が話す時間」という意識で、会話に臨むことが大切です。学習者に「たくさん話せた。自信が付いた」と思ってもらえれば、双方にとって意義のあることだと考えています。
また、講義は事前にアンケートを行い、参加者が知りたい内容に絞るようにしました。アンケートで寄せられたトピックは「学習者が興味のあることを引き出すには?」「学習者が話したいことをつかめないときは?」「共通の話題が見つからないときは?」「学習者の反応がないときは?」「こちらの話を理解しているかわかりにくいときは?」などでした。
それを踏まえて、講座とグループワークを以下の順で行いました。
①学習者との会話を広げ、深めるコミュニケーション方法について
②講師による傾聴を用いた学習者との会話のデモンストレーション
③参加者が「学習者」「日本語学習支援者」「オブザーバー」の役割に分かれてのグループワーク。
参加者の声
次の3つを心がけて実行したいと思いました。①相手の様子をしっかり観察して、ペースを合わせながら適度な相槌を入れること。②促したり、早合点せずに、まずは「〇〇なんですね」と受け止める。③相手から出た「ことば」を次の会話へ繋げていくこと。
自分の得意でない話題でも避けるのではなく、学習者の話したいことを引き出せるような質問をしたいと思います。「話をよく聞く5つの方法」を意識して会話したいと思います。
やはり、話が弾んでくると、話の内容に注意がいってしまって、自分の方が喋りすぎているかもしれません。相手の話を引き出すには沈黙も有効だと知り、参考にしたいです。
大変有意義な研修でした。特にグループワークは自分の振り返りのいい経験になりました。オブザーバーから「メモをとりながら話を聞いていたのは、相手のことを真剣に受け止めようとすることが伝わって好感が持てた、また笑顔で頷いていたので学習者は話しやすかったと思う」と言っていただき、いつもやっていることだったが、これでよかったんだと安心しました。
沈黙があるとつい焦ってしまうので、焦らなくても良いと教えていただき、目から鱗でした
日本語会話サロンでは、結構学習者さんに話してもらっていて、聞く・話すのバランスはまあまあかなと思っていたのですが、聞く技術は大切ですね。